
まだ求人票待ちの採用をしていませんか?パッシブ候補者へのアプローチを考える
目次
まだ求人票待ちの採用をしていませんか?パッシブ候補者へのアプローチを考える
「求人票を出してから応募を待つ」——その採用スタイルで、本当に欲しい人材が来ていますか。
採用市場では今、「アクティブ候補者(今すぐ転職を考えている人)」の争奪戦が激化しています。同じ求人媒体に同じような求人票を出す企業が増え、「応募はあるが質が上がらない」という悩みを持つ人事担当者は多い。
こうした状況で注目されているのが「パッシブ候補者(現在は転職を積極的に考えていないが、良い機会があれば動くかもしれない人)」へのアプローチです。
パッシブ候補者とは誰か
パッシブ候補者は「今すぐ転職したいわけではないが、良い機会があれば考える」という状態の人材です。
一般的に、労働市場のアクティブ候補者は全体の25〜30%程度と言われています。つまり「求人媒体に応募してくる人」は全体の3割以下。残りの7割は求人票を見ていません。
優秀な人材の多くは「現職でそれなりに充実している」ため、パッシブ候補者に分類されます。彼らにアプローチできるかどうかが、採用の質を左右します。
パッシブ候補者へのアプローチ方法
方法1:スカウト(ダイレクトリクルーティング)
LinkedInやビズリーチなどのプラットフォームを使い、候補者を特定して直接メッセージを送ります。
スカウトが機能するかどうかは「メッセージの質」にかかっています。「弊社の求人を見てください」という一般的なメッセージは開封もされません。「○○さんの○○という経験に共感して連絡しました。うちではこういう仕事をお願いしたいと思っています」という個別性のあるメッセージが、反応率を高めます。
方法2:リファラル採用の活用
自社の社員に「こういう人を紹介してほしい」とお願いする方法です。社員の知人・元同僚は、すでに「信頼できる情報源」から見た候補者です。パッシブ候補者にアプローチする最も自然な経路の一つです。
方法3:採用広報(Employer Branding)
「この会社で働くとどんな経験ができるか」を継続的に発信することで、「いつか機会があれば応募したい」という状態を作ります。SNS・noteでの社員インタビュー記事・会社ブログなど、「仕事の中身・カルチャー・人」が伝わるコンテンツが有効です。
パッシブ候補者アプローチの設計ポイント
長期視点で関係を作る:パッシブ候補者は「今すぐ動く人」ではありません。「半年後・1年後に動くときに選んでもらえる関係」を今から作ることが重要です。
候補者体験を設計する:スカウトに応じた候補者が「カジュアル面談でいい印象を持った」「担当者が丁寧だった」という体験をすることで、「この会社で働いてみたい」という気持ちが育ちます。
採用担当者の「人間力」が重要:パッシブ候補者の採用は、「求人票の魅力」だけでなく「どんな人が対応してくれるか」が大きく影響します。採用担当者自身の知識・誠実さ・コミュニケーション力が、採用ブランドを作ります。
中小企業でもできること
「スカウト担当を専任で置く余裕がない」という中小企業でも、始めやすいアプローチがあります。
まず「リファラル採用の制度化」——社員に紹介を依頼し、採用が決まった際のインセンティブを設ける。そして「採用広報の始動」——月1本でも社員インタビューや仕事紹介の記事をnoteやSNSで発信する。この2つから始めることが現実的です。
採用コストと効果の視点
スカウト採用は求人媒体への掲載費より高コストになることもありますが、採用の質向上と入社後の定着率を考慮すると、「採用コスト全体」では優れていることがあります。「入社1年後の在籍率」「戦力化までの期間」などを測ることで、チャネル別の費用対効果が見えてきます。
おわりに
「求人票を出して待つ」採用から「出会いに行く」採用への転換は、一日では起きません。でも「社員に一人、紹介を頼む」「月に一本採用広報を書く」という小さな行動が、半年後・1年後の採用の質を変えます。
採用戦略の実践をもっと深く学びたい方は、人事のプロ実践講座でご一緒しましょう。
吉田洋介
人事図書館 代表 / 著書『「人事のプロ」はこう動く』
リクルートマネジメントソリューションズで14年間・500社以上の組織人事コンサルティングに従事。 上海駐在を経て2021年に独立。2024年に人事図書館を設立(会員740名超)。 「すべての組織に人事のプロを」を理念に、経営と現場をつなぐ人事の実践知を発信している。
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