「良い質問」が「良い採用」を作る——面接質問設計の考え方
目次
- 「良い質問」と「悪い質問」の違い
- 「仮想・未来形」の質問の限界
- 「誘導質問」が生む問題
- 「活躍可能性」を見極める質問の設計
- 採用基準から「質問を逆算する」
- 「STAR法」で深掘りする
- 目的別の質問例
- 「自走力・主体性」を見る質問
- 「困難への対応」を見る質問
- 「学習意欲・成長志向」を見る質問
- プロの人事はこう考える:質問設計の実践
- 「評価基準も同時に設計する」
- 「質問リストを全社で共有する」
- 明日からできる3つのこと
- 1. 「次の採用の採用基準を5つ選ぶ」(所要時間:1時間)
- 2. 「採用基準ごとに1つの行動面接質問を作る」(所要時間:1〜2時間)
- 3. 「最近の面接を振り返る」(所要時間:30分)
- まとめ:「質問の質」が「採用の質」を決める
- もっと深く学びたい方へ
「良い質問」が「良い採用」を作る——面接質問設計の考え方
「面接で何を聞けばいいかわからない」「面接官によって聞くことがバラバラで、候補者の比較ができない」「質問への回答が表面的で、その人の本質が見えてこない」——採用面接の質問設計に悩んでいる人事担当者・採用担当者は多いのではないでしょうか。
採用の質を決める大きな要素の一つが、「面接で何を聞くか(質問の設計)」と「どう聞くか(質問の仕方)」です。「良い質問」は「候補者の本質」を引き出し、「活躍可能性の見極め精度」を高めます。
今日は、採用面接の質問設計について考えてみたいと思います。
「良い質問」と「悪い質問」の違い
「仮想・未来形」の質問の限界
「もし難しい状況に置かれたら、どうしますか?」という仮想・未来形の質問は、「その人の実際の行動」を見極めることに向いていません。
なぜなら、「理想的な回答」を語ることは誰でもできるからです。「困難な状況でも諦めずに行動します」という回答は、「その人が実際にそうするかどうか」を証明しません。
採用面接で本当に見極めたいのは、「実際にこの人はどう行動してきたか」であり、そのために有効なのが「過去の具体的な行動を引き出す質問」です。
「誘導質問」が生む問題
「うちの会社はチームワークを大切にしていますが、あなたはチームワークは得意ですか?」という誘導質問は、「得意です」という回答しか返ってこない質問です。
「会社が期待する回答を言わなければ」というプレッシャーが候補者にかかる質問は、「本音・本質」を引き出せません。「オープンエンドな質問(複数の回答方向性がある)」が、候補者の素直な経験・思考を引き出します。
「活躍可能性」を見極める質問の設計
採用基準から「質問を逆算する」
良い面接質問を設計するための出発点は、「この採用で見極めたい採用基準は何か」を明確にすることです。
「自走力(自分で問題を発見して解決できる)」という採用基準があるとすれば——「これまでの仕事で、誰かに言われる前に自分から問題を発見して改善した経験を教えてください」という質問を設計します。
「コミュニケーション力(異なる立場の人と協力して成果を出せる)」という基準なら——「意見が対立した相手と、どう協力関係を築きましたか?具体的な場面を教えてください」という質問になります。
「採用基準→行動指標→質問」という順番で設計することで、「見極めたいことに直結した質問」になります。
「STAR法」で深掘りする
候補者の回答が「概念的・抽象的」にとどまる場合、「STAR法」を使った深掘りが有効です。
- S(Situation):その状況はどういう状況でしたか?
- T(Task):あなたの役割・課題は何でしたか?
- A(Action):あなたは具体的にどんな行動を取りましたか?
- R(Result):その結果、どうなりましたか?
「状況・役割・行動・結果」を順番に確認することで、「抽象的な話」を「具体的な経験」に落とし込めます。「チームで頑張りました」という回答に「具体的にあなたはどんな行動を取りましたか?」と深掘りすることで、「本人の貢献度」が見えてきます。
目的別の質問例
「自走力・主体性」を見る質問
「これまでの仕事で、指示を待つのではなく、自分から課題を見つけて改善した経験を教えてください。なぜその課題に気づいたのか、どう行動したか、結果どうなったかを聞かせてください」
「新しいことを始めるとき、前例がない・反対される状況に直面した経験はありますか?その時、どうしましたか?」
「困難への対応」を見る質問
「これまでのキャリアで最も難しかった局面を教えてください。どういう状況で、どう乗り越えましたか?振り返って、今ならどう動くかという点で変わることはありますか?」
「プロジェクトや仕事で、うまくいかなかった(失敗した)経験を教えてください。何が問題で、そこから何を学びましたか?」
「学習意欲・成長志向」を見る質問
「直近1年で、仕事以外で自発的に学んだことや取り組んだことがあれば教えてください。それはなぜですか?」
「この仕事での成功イメージと、そのために必要だと考えているスキル・知識の課題を教えてください」
プロの人事はこう考える:質問設計の実践
「評価基準も同時に設計する」
良い質問を設計したら、「どんな回答がA評価・B評価・C評価か」を同時に定義することが重要です。
「A評価:具体的な状況・行動・結果が語られ、本人の貢献が明確。困難への対処や学びも含まれる」「C評価:抽象的な話のみで、具体的なエピソードが出てこない」——この評価基準を事前に設定することで、「評価者によるブレ」を減らせます。
「人事の仕事の質の7〜8割は"知る"の質で決まる」という考え方があります。採用においても、「候補者の実際の行動パターンを知る質問」の設計が、採用の質を決めます。
「質問リストを全社で共有する」
良い面接質問を設計したら、「全社の面接官が使えるように共有する」ことで、「採用面接の品質の標準化」が進みます。
「採用基準別の推奨質問リスト」「深掘り質問の例」「評価基準の定義」——こういった「採用の知的資産」を整備・共有することで、「面接官のスキルに依存しない採用プロセス」が作られます。
明日からできる3つのこと
1. 「次の採用の採用基準を5つ選ぶ」(所要時間:1時間)
次の採用で最も見極めたい要素を5つ選び、それぞれを「具体的な行動指標」に落とし込んでみましょう。「コミュニケーション能力」という抽象概念より、「異なる立場の人と協力して成果を出した行動」という具体的な指標の方が、質問設計につながります。
2. 「採用基準ごとに1つの行動面接質問を作る」(所要時間:1〜2時間)
5つの採用基準それぞれに対して、「過去の具体的な行動を引き出す質問」を1問ずつ作ってみましょう。「STAR法を引き出せる質問かどうか」をチェックしながら作成することで、質が上がります。
3. 「最近の面接を振り返る」(所要時間:30分)
直近の面接で「この候補者の本質がよくわかった」「あまりわからなかった」と感じたケースを振り返り、「何が違ったか」を分析してみましょう。「わかった理由・わからなかった理由」を言語化することで、質問設計の改善ポイントが見えてきます。
まとめ:「質問の質」が「採用の質」を決める
採用面接の質を高める最もコスパの良い投資の一つが、「質問の設計と評価基準の整備」です。
「良い質問」は「良い情報」をもたらし、「良い情報」が「良い意思決定」につながります。面接質問を「なんとなく」ではなく、「採用基準から逆算して設計する」——この一手間が、採用の精度を大きく変えます。
採用は「感じ」ではなく「基準と情報」で決める——この考え方の実践が、「再現性のある採用」を作っていきます。
もっと深く学びたい方へ
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