CHROを目指す人事はこう動く——経営参画への道筋と準備
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CHROを目指す人事はこう動く——経営参画への道筋と準備

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CHROを目指す人事はこう動く——経営参画への道筋と準備

「いつかはCHRO(最高人事責任者)になりたい」「人事で経営に貢献したい」という思いを持ちながら、具体的にどう動けばいいかわからない——そんな悩みを持つ人事の方は多いのではないでしょうか。

CHROや人事責任者への道は、「勤続年数が長くなれば自然になれるもの」ではありません。また「事業部経験がなければなれない」わけでもありません。この記事では、CHROという役割に必要なことと、そこへの道筋について考えてみます。


CHROという役割の本質

CHROは「人事のプロ」ではなく「経営者」

CHROに求められる最も重要なことは、人事の専門知識ではなく「経営者としての判断力」です。

CHROは取締役会や経営チームの一員として、「この組織をどう設計すれば事業目標を達成できるか」「どんな人材を採用し、どう育て、どう配置すれば会社が強くなるか」という経営課題に向き合います。

人事業務の専門家と経営者では、見ている視野の高さと広さが異なります。専門家は「人事の仕事を正確に行うこと」に注力しますが、経営者は「人事の判断が事業全体に与える影響」を考えます。CHROを目指すなら、この視点の転換が必須です。

経営言語で語る能力

CHROとして経営のテーブルに座るためには、「経営者の第一言語(数字)で語れること」が必要条件です。

人材への投資が売上にどうつながるか、離職率の変化がコストにどう影響するか、組織の変化が事業リスクを増減させるか——これらを数字とロジックで語れることが、経営チームの一員として機能するための基盤です。

「英語話者には英語で話すように、経営数字で語る人たちには数字で語る」——この言語を身につけることが、CHROへの道の核心のひとつです。

孤独な判断に向き合う覚悟

CHROという役割は、時に「人と事業のどちらを優先するか」という孤独な判断を求められます。

事業縮小に伴う組織再編、業績不振の管理職の処遇、採用計画の大幅修正——これらはどれも正解のない、重い意思決定です。「経営者は人事が思っているより、人について真剣に考えている」という視点で言えば、CHROはこの重さを受け止めながら経営チームと向き合う役割です。


よくある失敗パターン(CHROへの道で)

失敗1:「人事の専門家」を極めることだけに注力する

採用・評価・労務といった人事の専門知識を深めることは重要ですが、それだけでは経営のテーブルに座れません。

「私は採用なら誰にも負けない」という専門性の追求は価値がありますが、CHROに必要な「組織全体を設計する視野」「経営判断のインサイト」は、専門知識の蓄積だけでは得られません。

失敗2:現場経験を避けて「人事部内」でキャリアを積む

人事部門内でのキャリアだけを積み続け、事業部門や経営の場に近づく機会を避けていると、「経営が何を大切にしているか」が体感として掴めません。

CHROを目指すなら、事業部門への異動・兼務・プロジェクト参加などを通じて、「経営の現場」に身を置く経験が不可欠です。事業部に正式に異動しなくても、経営会議への参加・事業部長との定期的な対話・経営数字の定期的な読み込みで、経営目線は養えます。

失敗3:「人事としての成果」を経営に可視化できていない

人事の仕事の成果は見えにくい部分が多いですが、CHROを目指す人材は「自分の仕事が事業にどう貢献したか」を積極的に語れるようになることが必要です。

「あのプロジェクトの成功には、人事がした〇〇という採用・育成の取り組みが貢献した」という因果関係を言語化し、経営に伝える習慣を作ることが、信頼の蓄積につながります。


プロの人事はこう考える

経営数字を「自分の言葉」にする

CHROへの道を歩む人事担当者がまず取り組むべきは、自社の経営数字を「自分の言葉で語れる状態」にすることです。

損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書の基本を理解し、自社の3〜5年の数字の変化を眺める。「なんかここの数字が気になるな」という感覚が生まれれば、それを人事の視点でどう解釈するかを考える。これが「経営数字からの発想」の習慣化です。

「経年変化を眺めるだけで発想が変わる」——この習慣を持つ人事と持たない人事では、経営との対話の質が根本的に違います。

「今の立場」でCHROの視座を持つ

CHROを目指す人事が意識すべきことは、「今の立場でCHROだったらどう判断するか」という問いを日常的に持つことです。

採用計画を見るとき、「人事担当者として何人採れるか」だけでなく「経営者として何人採るべきか、なぜか」を考える。育成施策を設計するとき、「研修を実施すること」だけでなく「この育成投資が3年後の組織にどんな影響を与えるか」を考える。

この視座を持つ習慣が、日常の仕事をCHRO候補としての成長の場に変えます。

経営者・経営陣との関係を作る

CHROは「経営チームの一員」ですから、経営者・経営陣との信頼関係を作ることは必須の準備です。

経営会議への参加機会を積極的に求める。経営者のメンターを見つけて定期的に意見を聞く。取締役・役員との1on1を設ける。こうした関係づくりは、「CHRO候補として認識される」ためにも、「経営の判断軸を学ぶ」ためにも重要です。

外部との接点を作る

自社の文脈だけで成長しているCHRO候補は、同質的な思考パターンに陥るリスクがあります。

他社の人事責任者との交流(人事コミュニティ、経営者向けセミナーなど)、外部のコーチやメンターとの対話、異業種の経営者との接点——こうした外部との接点が、自社の「当たり前」を疑い、視野を広げる機会を生みます。


明日からできる3つのこと

1. 自社の直近3年の財務数字を読んでみる(2〜3時間)

直近3年間の損益計算書を入手し、売上・営業利益・人件費の推移を確認してみてください。「なぜこの数字はこう動いているのか」という問いを立て、人事の視点でどう解釈できるかを考えてみる。これが経営数字を「自分の言語」にする第一歩です。

2. 上位の意思決定者に「最近の最大の経営課題は何か」を聞く(1時間)

自分より上のポジション(部門長・事業部長・経営者)に「今最も悩んでいる経営課題は何か」を率直に聞いてみてください。その課題に人事の視点でどう答えられるかを考えることが、CHROとしての思考訓練になります。

3. 「人事が事業に貢献した事例」を3つ言語化する(1時間)

過去1〜2年で「自分の人事の仕事が事業にこう貢献した」と言える事例を3つ言語化してみてください。まだ言語化できない場合は、今後の仕事で「事業への貢献」を意識して記録していく習慣を作ることから始めてください。


まとめ

CHROへの道は、「勤続年数を重ねること」でも「人事の専門知識を極めること」でもありません。「経営者としての視座を持ち、経営言語で語り、組織設計を通じて事業に貢献すること」です。

「大切なのは経験ではなく、経営者が優先して見ているものを同じだけ見ること」——この視点が、今の立場でCHROを目指す人事の出発点になります。

遠回りに見えるかもしれませんが、経営数字を学び、経営者の言語を習得し、小さな成果を積み重ねることが、最も確かな道だと思っています。


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吉田洋介

人事図書館 代表 / 著書『「人事のプロ」はこう動く』

リクルートマネジメントソリューションズで14年間・500社以上の組織人事コンサルティングに従事。 上海駐在を経て2021年に独立。2024年に人事図書館を設立(会員740名超)。 「すべての組織に人事のプロを」を理念に、経営と現場をつなぐ人事の実践知を発信している。

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