
チームが「なぜかうまくいかない」と感じたとき——チームの効果性を診断する視点
目次
チームが「なぜかうまくいかない」と感じたとき——チームの効果性を診断する視点
「メンバーは優秀なのに、なぜかチームとして成果が出ない」——こんな経験はありませんか。
優秀な人を集めれば良いチームができる、というのは誤解です。バンドで例えるなら、それぞれの楽器が上手でも、合わせると音がぶつかり合ってしまうことがあります。チームの効果性は「メンバーの個人能力の合計」ではなく、「どう組み合わさっているか」で決まります。
チームが「うまくいかない」と感じたときの診断の視点を整理します。
チームの効果性を構成する5つの要素
Googleが数千のチームを研究した「プロジェクトアリストテレス」では、高いパフォーマンスを発揮するチームに共通する要素として、以下の5つを特定しました。
1. 心理的安全性
「このチームでは、リスクのある発言をしても安全だ」という感覚。「失敗を責められない」「変な意見だと思われない」「話してもいい」という状態が、チームの創造性と問題解決力を高めます。
2. 信頼性
「チームメンバーは約束を守る」「期日通りに仕事を完成させる」という相互信頼。「あの人に任せると大丈夫」という感覚がチームにあるかどうかです。
3. 構造と明確性
「自分の役割・目標・プロセスが明確である」こと。誰が何をするか、何が成功か、優先順位は何かが明確でないと、チームはバラバラに動きます。
4. 仕事の意味
「自分の仕事は自分にとって意味がある」という感覚。仕事の意味は「給与」だけでなく、「このプロジェクトが誰かの役に立つ」「自分のスキルが活かされる」という感覚から生まれます。
5. インパクト
「自分の仕事が何かに貢献している」という実感。「自分がいなくても同じ」という感覚はエンゲージメントを下げます。
チームを診断する問いかけ
「チームがうまくいっていない」と感じたとき、まずどこに問題があるかを診断することが先です。
心理的安全性の確認:
- チームで「うまくいっていない」という話を率直にできるか?
- ミーティングで一部の人しか発言していないか?
- 失敗を隠す・ごまかす雰囲気はないか?
信頼性の確認:
- 約束が守られないことが多いか?
- 「あの人に任せると心配」という声が出ているか?
構造と明確性の確認:
- 誰が何を担当しているか全員が把握しているか?
- 会議の目的・決定事項が明確か?
- 優先順位が一致しているか?
「うまくいかないチーム」の介入アプローチ
アプローチ1:まず対話を始める
「チームがうまくいっていない」と感じる場合、まずチームメンバーが「チームの状態について話す場」を作ることが出発点です。
「チームとして最近うまくいっていることは何か」「何が難しいか」という問いかけから対話を始めることで、「問題の言語化」が起きます。
アプローチ2:小さな成功体験を作る
チームがうまくいっていないとき、成功体験を意図的に作ることが重要です。「確実に達成できる短期目標を設定し、達成を全員で確認する」というサイクルが、チームの自信と結束を高めます。
アプローチ3:チームの外側からの視点を入れる
内部だけで解決しようとすると、「見えていない問題」に気づきにくいことがあります。人事・外部ファシリテーターが入ることで、「チームの外側から見える問題」が可視化されます。
人事が「チームの状態」を把握するための仕組み
チームの効果性を定期的にモニタリングするために、以下の仕組みが有効です。
チームサーベイ:月次・四半期でチームの効果性に関するサーベイを実施し、「心理的安全性」「目標明確性」などのスコアを追います。
マネジャーへのヒアリング:マネジャーが「チームの状態」を率直に話せる関係を人事が作ることが重要です。「困っていることを話せる人事」として信頼されることが、早期把握につながります。
おわりに
「メンバーは優秀なのにうまくいかない」チームには、必ず理由があります。その理由を「診断する目」を持つことが、組織開発の出発点です。まずチームで「最近うまくいっていることは何か」を聞いてみてください。
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吉田洋介
人事図書館 代表 / 著書『「人事のプロ」はこう動く』
リクルートマネジメントソリューションズで14年間・500社以上の組織人事コンサルティングに従事。 上海駐在を経て2021年に独立。2024年に人事図書館を設立(会員740名超)。 「すべての組織に人事のプロを」を理念に、経営と現場をつなぐ人事の実践知を発信している。
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