「多様性を大切に」で終わらせないために——D&I推進を実践に結びつける
組織開発

「多様性を大切に」で終わらせないために——D&I推進を実践に結びつける

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「多様性を大切に」で終わらせないために——D&I推進を実践に結びつける

「ダイバーシティ、インクルージョン、エクイティ」——言葉は飛び交っているのに、現場では何も変わっていない。そんな感覚を持つ人事担当者の方は多いのではないでしょうか。

D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進は、「宣言するだけ」では何も変わりません。「なぜ多様性が必要か」を経営の言葉で語り、「具体的に何を変えるか」を設計し、「変化を測る」サイクルを回すことが必要です。


「D&Iを進める理由」を経営に語るために

D&I推進は「倫理的に正しいから」だけを根拠にすると、経営の優先順位の中で後回しにされがちです。経営数字・事業効果の観点から語ることが重要です。

多様な視点が意思決定の質を高める:同質的な集団では見えにくいリスクや機会が、多様な視点を持つチームでは見えやすくなります。これはイノベーション・新規事業開発に直結します。

人材獲得競争での優位性:「多様な人材が活躍できる環境」は、採用ブランドとして機能します。特に若い世代は「インクルーシブな職場かどうか」を就職先選びの基準にする傾向があります。

リスク低減:不公平な扱いによる訴訟リスク・レピュテーションリスクの低減も、投資対効果として語れます。


D&I推進の3つの実践領域

領域1:採用の多様性

「どこから採用するか」「選考プロセスにバイアスがないか」を見直します。

具体的には:

  • 構造化面接の導入(面接官の主観的バイアスを減らす)
  • 募集媒体の多様化(特定の人材層に偏らない媒体の活用)
  • 求人票の言葉遣いの見直し(特定の属性を排除する表現がないか)

領域2:昇進・昇格の公平性

「どんな人が昇進しているか」のデータを分析します。「管理職に占める女性比率」「外国籍社員の昇進率」などのデータが現状を可視化します。

「なぜこういう分布になっているか」を分析することで、「無意識のバイアスが選考に影響していないか」「育成・メンタリングの機会が偏っていないか」という問いが生まれます。

領域3:インクルーシブな職場文化

多様な人材を採用しても、「馴染めない・活躍できない」という職場では意味がありません。

「誰もが発言できる会議の設計」「多様な育児・介護状況に対応できる働き方」「ハラスメントを生まない文化と仕組み」——これらが「インクルージョン」の実践です。


「管理職の多様性目標」を設定する際の注意

「女性管理職比率30%を目指す」という目標設定は有効ですが、「数字を達成するために形式的に任命する」という本末転倒が起きないよう注意が必要です。

「現在の候補者パイプラインはどうか」「育成は機能しているか」「働き方の制約はないか」という前提条件を整えることが先で、数字目標はその結果として追ってくるものです。


D&Iの効果を測る

D&I推進の効果を測る指標として、以下が使いやすいです。

  • 管理職・リーダー層における属性の多様性(性別・年齢・出身・バックグラウンド)
  • 全社員の「インクルージョン実感スコア」(「このチームで自分が尊重されている」という感覚)
  • 採用における候補者の多様性(応募者・最終選考通過者の構成)

おわりに

「多様性を大切に」という言葉を「採用の多様性を1つ具体的に変える」という行動に変えることが、D&Iの実践です。まず「求人票を見直して、特定の属性を排除していないか確認する」ことから始めてみてください。

組織開発とD&I推進の実践をもっと深く学びたい方は、人事のプロ実践講座でご一緒しましょう。

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吉

吉田洋介

人事図書館 代表 / 著書『「人事のプロ」はこう動く』

リクルートマネジメントソリューションズで14年間・500社以上の組織人事コンサルティングに従事。 上海駐在を経て2021年に独立。2024年に人事図書館を設立(会員740名超)。 「すべての組織に人事のプロを」を理念に、経営と現場をつなぐ人事の実践知を発信している。

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