外国人採用、はじめてどう進めるか。制度と受け入れを両立させる人事の視点
目次
- なぜ「制度を整えただけ」では終わらないのか
- 「リスク回避」が思考の入口になりやすい
- 「採用と受け入れ」は別物として設計される傾向がある
- 外国人採用が失敗する構造を理解する
- 在留資格と受け入れの両方を考える必要性
- はじめての外国人採用でよくある失敗パターン
- 失敗パターン①:在留資格の手続きだけに集中してしまう
- 失敗パターン②:「日本語が話せれば大丈夫」と思い込む
- 失敗パターン③:職場環境・受け入れ体制を整えずに採用する
- 人事のプロはどうしているか
- 工夫①:在留資格と採用要件を先に整理する
- 工夫②:採用前に「受け入れ体制」を設計する
- 工夫③:文化的な違いをマイナスではなくプラスとして活かす
- 工夫④:定着率を経営指標として追跡する仕組みを作る
- 明日からできる具体的アクション
- アクション①:在留資格の基本マップを作る
- アクション②:受け入れチェックリストを作る
- アクション③:定着率の追跡フォーマットを準備する
- まとめ
外国人採用、はじめてどう進めるか。制度と受け入れを両立させる人事の視点
「外国人を採用することになったんですが、ビザのこととか、受け入れのこととか、何から手をつければいいかわからなくて…。上司からは『とにかく早く進めて』と言われているんですが、何か大事なことを見落としているんじゃないかと不安で」
こんな状況に置かれている人事担当者の方、いらっしゃるんじゃないかと思います。
外国人採用が「初めて」の会社では、このような声が珍しくありません。経営から突然「外国人を採ろう」という話が降りてきて、人事は右往左往しながら情報収集を始める。そして「在留資格の手続き」を調べることに時間を費やし、気づけば「受け入れ」のことはほとんど考えられていなかった——そういう経験をした方も多いのではないでしょうか。
外国人採用は、確かに日本人採用と違う知識が必要です。在留資格の種類、就労可能な業務範囲、申請手続き、ハローワークへの届け出……。これらは最低限押さえなければいけない「制度面」です。でも、制度を整えるだけでは、外国人採用は「成功」しません。
採用後に定着して活躍してもらえるかどうか。それは「法律的に問題のない状態で採用できたか」とはまったく別の話です。
人事として外国人採用に初めて取り組むとき、「手続き」と「受け入れ設計」の両方を同時に考える視点が必要です。どちらかだけでは、必ずどこかで詰まる。では、その両方をどう考えていけばいいのか——一緒に考えてみたいと思います。
なぜ「制度を整えただけ」では終わらないのか
ある若手人事担当者が話してくれました。「外国人採用を初めてやったとき、在留資格の申請のことばかり勉強していました。でも、入社後に問題が出たのは全部、そこじゃなくて。現場が受け入れ準備できていなくて、本人が孤立してしまって。3ヶ月で辞めてしまったんです。あのとき、受け入れのことをもっと先に考えていれば、と今でも思います」
外国人採用は「法的な手続きをクリアしたら終わり」ではないのに、初めて取り組む人事はどうしても「手続き」に意識が向きがちです。それはなぜでしょうか。
「リスク回避」が思考の入口になりやすい
外国人採用に不慣れな組織では、「何か違法なことをしてしまわないか」という恐怖感が先に立ちます。在留資格を確認せずに採用して、実は就労できない資格だった——そういうトラブルは実際に起きています。だから最初に「リスク回避」として在留資格の勉強を始める。これは正しい方向性です。でも、そこで止まってしまうことが問題の根本です。
在留資格の確認は「採用の入口」に過ぎません。採用後の定着・活躍まで視野に入れたとき、人事がやるべきことはずっと多い。
「採用と受け入れ」は別物として設計される傾向がある
日本人の採用プロセスでも「採用」と「オンボーディング」は別々に設計されがちですが、外国人採用ではその溝がより大きくなります。採用担当が在留資格の手続きを進める一方で、現場の受け入れ体制は誰も考えていない——こういう分断が起きやすい。
人事が「採用後にどうなるか」まで責任を持って設計しないと、外国人材は「採れたけど定着しなかった」という結果になります。
外国人採用が失敗する構造を理解する
外国人採用が失敗するときのパターンは、大きく2つあります。
1つ目は「手続き的な失敗」。在留資格の確認不足、就労可能な業務範囲の誤解、雇用契約書の不備(労働条件の母国語での説明が不十分、など)。これらは「知識」で防げる失敗です。
2つ目は「受け入れの失敗」。日本語だけのマニュアル、暗黙のルールが多い職場環境、コミュニケーション不全、孤立……。これらは「設計」で防げる失敗です。
多くの会社が1つ目を気にしながら、2つ目を見落とします。でも定着に直結するのは2つ目です。外国人材が早期離職するとき、ほとんどの場合は「受け入れの失敗」が原因になっています。
在留資格と受け入れの両方を考える必要性
外国人採用を成功させる人事は、「在留資格の手続き」と「受け入れ設計」を並列で考えます。これは同時にやる必要があるわけではありませんが、採用プロセスを設計する段階から「両方のことを考える視点」が必要です。
在留資格の申請プロセスには時間がかかります(申請から許可まで1〜3ヶ月が一般的)。その時間を「受け入れ設計」に充てることができます。つまり、手続きを進める期間と受け入れ設計の期間は、うまくいけば並行して走らせることができる。
「制度と受け入れを両立させる」というのは、この並行設計のことです。
はじめての外国人採用でよくある失敗パターン
失敗パターン①:在留資格の手続きだけに集中してしまう
外国人採用を初めて担当した人事が、最初につまずくのがこのパターンです。
在留資格(就労ビザ)は確かに重要です。外国人が日本で働くためには、従事する業務内容に合った在留資格が必要で、在留資格の種類によって就労できる業務の範囲が決まっています。「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「高度専門職」「企業内転勤」——それぞれ要件も異なります。
この確認を怠ると、「採用したが、実はその業務に従事できる在留資格ではなかった」という重大なトラブルになります。だから手続きを丁寧に進めること自体は正しい。
問題は、「手続きが完了すること」がゴールになってしまうことです。
在留資格の申請が通れば、採用は「合法的に進められる状態」になります。でもそれは「採用後に定着できる環境が整った」とは全然違う話です。手続きに全精力を使い果たして、受け入れの準備が後回しになる——このパターンで採用した外国人材は、入社直後から「こんなはずじゃなかった」という状況に置かれることになります。
手続きは専門家(社会保険労務士・行政書士)に相談しながら進め、人事は「受け入れ設計」に並行してエネルギーを使うことが大事です。
失敗パターン②:「日本語が話せれば大丈夫」と思い込む
「日本語レベルN2以上」「日常会話が問題ない」——こういう採用基準を設けて外国人採用を進めたのに、入社後にコミュニケーションで問題が出た、という話を聞くことがあります。
日本語能力と「日本の職場でうまくやれるか」は別の問題です。
日本の職場には、言語化されていない「暗黙のルール」がたくさんあります。報告・連絡・相談の頻度感、会議での発言スタイル、残業に対する態度、上司とのコミュニケーションの取り方——これらは「日本語が話せる」ことで自動的に理解できるわけではありません。
外国で生まれ育った方にとって、日本のビジネス慣行は「習う」ものです。でも多くの職場では「言わなくてもわかるはず」として、これらが説明されないまま、外国人材が「なんとなく浮いている」状態になります。
「日本語が話せる」は「受け入れ準備が不要」ではありません。言語能力の確認と並行して、「職場文化の説明」「暗黙のルールの言語化」という受け入れ設計が必要です。
失敗パターン③:職場環境・受け入れ体制を整えずに採用する
これが最も多く、最もダメージの大きい失敗パターンです。
人事が採用を進め、現場(配属先のマネージャーや同僚)への説明・準備が不十分なまま入社当日を迎える。現場は「外国人が来る」ということは知っているが、「どうコミュニケーションを取ればいいか」「業務をどう伝えればいいか」「困ったことがあったときにどう対応すればいいか」がわかっていない。
その結果、外国人材は「どこに質問していいかわからない」「周りが忙しそうでなかなか聞けない」「職場に馴染めていない気がする」という状況になります。3ヶ月、6ヶ月で離職——そういう結果になることが多い。
この問題は「外国人材が職場に馴染む努力をしなかった」のではなく、「職場が受け入れる準備をしていなかった」という構造的な問題です。
採用後の定着率は、現場の受け入れ体制で大きく変わります。人事が現場を準備する役割を担わなければ、この問題は繰り返されます。
人事のプロはどうしているか
では、外国人採用をうまく進めている人事は、何を考えて、どう動いているのでしょうか。経験者から聞いた工夫を整理してみます。
工夫①:在留資格と採用要件を先に整理する
外国人採用を成功させている人事が最初にやることは、「どんな在留資格の方を採用するのか」と「その方が担当する業務内容」を先に整理することです。
この2つはセットで考える必要があります。なぜなら、在留資格の種類によって「従事できる業務の範囲」が決まるからです。採用したい業務内容が決まっていないと、どの在留資格の方を採用すればいいかが決まらない。採用要件が曖昧なまま求人を出すと、後から「この業務はこの在留資格では対応できない」ということが発覚するリスクがあります。
具体的には、次のような整理から始めます。
採用したい職種・業務内容を明確にする。「ITエンジニアとして開発業務に従事してもらいたい」のか「製造ラインのオペレーターとして入ってもらいたい」のか。業務内容によって、適合する在留資格が変わります。
その業務に対応する在留資格の種類を調べる。「技術・人文知識・国際業務」は大学卒業以上の学歴や実務経験が必要で、理系職・文系専門職・翻訳通訳業務などに対応します。「特定技能」は介護・農業・建設・製造など特定の産業分野向けで、試験合格などの要件があります。この段階で、専門家に相談するのが得策です。
申請から許可までのリードタイムを採用スケジュールに組み込む。在留資格の変更・取得申請には通常1〜3ヶ月かかります。「来月から入社してほしい」という無理なスケジュールは組めません。採用の意思決定をする時点から、このリードタイムを計算に入れたスケジュール設計が必要です。
採用要件と在留資格の整合性を先に確認することで、後から発覚するトラブルを大幅に減らせます。これは「法的リスク回避」であると同時に、「採用後のミスマッチを防ぐ」効果もあります。
工夫②:採用前に「受け入れ体制」を設計する
在留資格の申請を進めている間に、並行して受け入れ体制の設計を始めます。これが「制度と受け入れの両立」の実践的な形です。
受け入れ体制の設計で最初に考えることは、「配属先の現場が外国人材を迎える準備ができているか」です。
現場マネージャーとの事前すり合わせは必須です。「どんな方が入社するのか」「どんな業務を担ってもらう予定か」「コミュニケーションで注意すべきことは何か」——これを事前に話し合うことで、現場の心理的な準備ができます。「突然外国人が来た」という状況は、現場にとっても外国人材にとっても不幸な出発点です。
次に考えることは、業務マニュアル・資料の整備です。日本語だけのマニュアルを「日本語が話せる外国人材なら読める」と思い込まず、図解を多用したわかりやすい形式に整えることが重要です。また、特定の業務においては英語や中国語などの多言語版を用意できると、より安心感を持って仕事に入ってもらえます。
バディ(メンター)制度の設計も有効です。入社後の一定期間、困ったことを気軽に相談できる「担当者」を決めておくことで、外国人材が「どこに聞けばいいかわからない」という孤立感を防げます。バディは「外国人対応が得意な人」でなくてもよく、「話しかけやすい人」「親切に教えてくれる人」で十分です。
オリエンテーションの設計も重要です。日本の労働習慣(有給休暇の取り方、残業の考え方、報連相のルールなど)を、外国人材の視点から「説明が必要なこと」として洗い出し、入社時に伝えます。これは「日本人にとっての当たり前」を言語化する作業ですが、やってみると「自分たちの職場文化がどんなものか」が改めてわかるという副産物もあります。
受け入れ体制の設計は、完璧である必要はありません。最初は粗削りでも、「現場と人事が一緒に受け入れを考えた」という事実が、外国人材への心理的な安全感につながります。
工夫③:文化的な違いをマイナスではなくプラスとして活かす
外国人採用において「文化的な違い」をどう捉えるかで、組織の雰囲気がまったく変わります。
「日本のやり方と違うから直してもらわないと」という発想で外国人材に接すると、その方は「自分が否定されている」と感じます。一方で、「違うやり方を持っているからこそ、新しい視点をもたらしてくれる」という発想で接すると、外国人材は「自分が歓迎されている」と感じます。
これは精神論ではなく、実際に組織への影響があります。
たとえば、外国人材が「なぜこのプロセスが必要なんですか?」と質問したとき、それを「理解していないから聞いている」と捉えるか、「業務プロセスの改善のヒントになるかもしれない視点だ」と捉えるかで、組織の反応が変わります。外国人材が「異文化の視点」を持っているということは、日本人スタッフにとっての「当たり前」を問い直す機会になります。
グローバル展開をしている企業では、外国人材の採用が「多言語対応の強化」「海外顧客との関係構築」「異文化理解によるサービス設計」などの効果を生むことがあります。これは外国人材を「人手不足を補う補充」として見ていては気づけない効果です。
外国人材が「違いをプラスに活かせている」と感じる職場は、定着率が高い傾向があります。「自分の存在意義がある」「自分のバックグラウンドが活かされている」という感覚は、長く働き続ける動機になります。
人事として取り組めることは、文化的な違いを「問題」としてではなく「資産」として扱うカルチャーを、採用前から現場に浸透させることです。
工夫④:定着率を経営指標として追跡する仕組みを作る
外国人採用の成否を「採用できたかどうか」だけで測ると、問題が見えなくなります。定着率・活躍状況を継続的に追跡し、経営指標として管理する仕組みを最初から作ることが重要です。
なぜ経営指標として追跡するのか。それは「外国人採用のコスト」が可視化されたとき、定着率の低さが経営課題として認識されるからです。
外国人採用には、在留資格申請費用(社労士・行政書士への依頼費を含む)、採用広告費・エージェント費用、入社後のオンボーディングコスト——様々なコストがかかります。もし採用した外国人材が3ヶ月で離職した場合、そのコストは回収できないどころか、再採用のコストも上乗せになります。
外国人採用の1名あたりのコストを仮に100万円とすると、定着率が50%の場合、採用コストの回収に失敗した費用は全体の半分。これは経営上の無駄です。この数字を経営層に示せると、「受け入れ体制に投資することの合理性」が説明しやすくなります。
追跡すべき指標として、次のものが考えられます。
- 入社後3ヶ月・6ヶ月・1年時点での在籍率
- 定期的な1on1での満足度・課題ヒアリング
- 配属先マネージャーからの定着・活躍に関するフィードバック
- 業務習熟度(スキル・成果の可視化)
これらを定期的に確認し、「外国人材の定着・活躍状況」を人事が把握し続けることで、早期離職のサインを掴み、先手を打つことができます。
また、採用した外国人材が「活躍している」という事例が社内に蓄積されると、「外国人採用への組織的な理解」が深まります。「あの人が入ってから、チームが変わった」という実感が現場に生まれると、次の外国人採用も「歓迎する雰囲気」の中で進められます。これは中長期的な採用力の向上につながります。
経営数字・事業への貢献という観点から外国人採用を設計・評価することで、人事の提案が「感覚論」ではなく「経営言語」として届くようになります。
明日からできる具体的アクション
「大事なのはわかった。でも、今日から何をすればいいのか」——実践的な入口を3つ整理します。
アクション①:在留資格の基本マップを作る
所要時間:2〜3時間(初回のみ) 必要なもの:出入国在留管理庁のウェブサイト、採用したい職種の業務内容メモ 最初の一歩:自社が採用したい業務内容を箇条書きで書き出す
在留資格は種類が多く、最初は混乱します。全部を一度に理解しようとせず、「自社の採用要件に関係する在留資格」だけを最初に調べることが効率的です。
出入国在留管理庁のウェブサイトには、在留資格ごとの要件・対応業務・申請方法が掲載されています。まずここを起点に、自社の採用予定の職種に関係する在留資格を2〜3種類に絞って理解する。
一覧表を作るのがおすすめです。「在留資格の種類」「対応できる業務内容」「主な要件(学歴・経験など)」「申請のリードタイム目安」を1枚の表にまとめておくと、社内での説明に使えます。また、社会保険労務士や行政書士への相談のベースにもなります。
専門家への相談は「何も知らない状態」よりも「ある程度整理した状態」で行くほうが、質問が的確になり、相談が実りやすくなります。
アクション②:受け入れチェックリストを作る
所要時間:1〜2時間(配属先マネージャーと話しながら作るとより良い) 必要なもの:入社後のオンボーディングプロセスの現状確認 最初の一歩:現在の新入社員のオンボーディングで「言語化されていないこと」を書き出す
日本人向けの採用・オンボーディングを外国人材向けにアレンジするための「チェックリスト」を作ります。
チェックリストに含めると良い項目の例を挙げます。
業務環境
- 業務マニュアルは日本語以外で閲覧できるか
- 図解・ビジュアルでわかるマニュアルがあるか
- 社内システム(勤怠管理、経費申請など)の説明資料があるか
コミュニケーション
- 困ったことを相談できる担当者(バディ)が決まっているか
- 日本語での会議についていけない場面への対応方針があるか
- 定期的な1on1の頻度・担当者が決まっているか
職場文化の説明
- 有給休暇の取り方・考え方を説明するコンテンツがあるか
- 残業・時間外労働に対する会社の方針が明確に伝えられているか
- 日本のビジネスマナー(名刺交換、挨拶、報連相など)を説明する場があるか
このチェックリストを「現時点でできているか・できていないか」の観点でチェックするだけで、受け入れ準備の現状が見えます。できていない項目が今後の整備タスクになります。
完璧に整える必要はありません。優先度の高いものから1つずつ整えていく——その積み重ねが、外国人採用の定着率を上げていきます。
アクション③:定着率の追跡フォーマットを準備する
所要時間:1時間(フォーマット作成) 必要なもの:スプレッドシートツール(ExcelでもGoogleスプレッドシートでも可) 最初の一歩:「外国人採用者の追跡シート」を1枚作る
採用した外国人材の定着・活躍状況を追跡する仕組みを、採用前から準備しておきます。「採用してから考える」ではなく、「採用する前に追跡の仕組みを作る」という順番が大切です。
シートに含める項目の例です。
- 氏名・配属先・入社日・在留資格の種類・在留期限
- 入社3ヶ月後の在籍状況・満足度ヒアリング結果
- 入社6ヶ月後の在籍状況・業務習熟度評価
- 入社1年後の在籍状況・活躍事例・次年度の方針
このシートを定期的に更新していくことで、「外国人採用の定着率」が数字で見えるようになります。定着率が低い時期・パターンが見えてくれば、受け入れ体制の改善ポイントが特定できます。
また、「○○さんは入社1年で△△の業務を一人で担えるようになった」という個別の成長記録が蓄積されると、「外国人採用の成功事例」として社内共有できる素材になります。これは次の外国人採用を進める際の説得材料にもなります。
追跡フォーマットを準備することは、「採用後のことを採用前から考える」という姿勢の表れです。それ自体が、外国人採用の設計を「手続き」から「受け入れまで含めた設計」に変えていく第一歩になります。
まとめ
外国人採用をはじめて担当するとき、「何から始めればいいかわからない」というのは自然な感覚です。在留資格の種類の多さ、手続きの複雑さ——知らないことへの不安は当然あります。
でも、外国人採用の成否を分けるのは「在留資格の手続きを間違えなかったかどうか」よりも、「採用後の受け入れ体制が整っていたかどうか」です。
手続きをクリアすることは「採用できる状態を作ること」。受け入れを設計することは「定着して活躍できる環境を作ること」。この2つは別物であり、両方が必要です。
外国人材が「ここで長く働きたい」と思える職場は、特別なことをしているわけではありません。「歓迎されている」「違いを活かしてもらっている」「困ったときに相談できる」——この3つが揃っている職場です。
そのために人事が最初にやることは、在留資格の勉強と並行して、受け入れのチェックリストを作り、現場マネージャーと話し合い、定着率を追跡する仕組みを準備すること。どれも明日から始められることです。
制度と受け入れを両立させる人事の視点——これが、はじめての外国人採用を「採れたけど定着しなかった」で終わらせないための出発点です。
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