「人事×DX」のキャリアを築くのに、ITの専門知識は必須ではない
目次
- 「人事DX」は何のためにあるのか
- 人事DXは「効率化」だけではない
- 「テクノロジーの知識」より「何を解決したいか」が先
- 「人事×DX」で求められる力
- ITの専門知識より「翻訳する力」
- 「データリテラシー」は必要
- 人事DXキャリアの築き方
- 「得意な人事領域」×「デジタル活用」から始める
- 「小さなデジタル活用」を積み重ねる
- 「HR Tech」の世界を継続的に学ぶ
- 明日からできる3つのこと
- 1. 「今の業務で一番時間がかかっている手作業」を書き出す(所要時間:30分)
- 2. 「Excelの集計作業」を一つ自動化してみる(所要時間:1〜3時間)
- 3. 「HR Techツール」を1つ調べて試してみる(所要時間:2〜3時間)
- まとめ:人事×DXは「人事の本質を知っている人」の仕事
- もっと深く学びたい方へ
「人事×DX」のキャリアを築くのに、ITの専門知識は必須ではない
「HR Techに詳しくないと、これからの人事は厳しいのかな」「DXを推進しろと言われているが、何から始めればいいかわからない」「システムのことがよくわからなくて、IT部門との会話についていけない」——こういった不安を持っている人事の方は増えているのではないでしょうか。
デジタル化が進む中で、「人事×DX」のキャリアを持つ人材への注目が高まっています。でも、「ITの専門家でなければ人事DXに関われない」というわけでは決してありません。
今日は、人事がDXとどう向き合えばいいか、「人事×DXのキャリア」をどう築くかについて一緒に考えてみたいと思います。
「人事DX」は何のためにあるのか
人事DXは「効率化」だけではない
「人事DX」と言うと「業務を効率化すること」のイメージが強いかもしれません。採用管理システム、給与計算の自動化、電子申請——これらは確かに「効率化」です。
でも人事DXの本質はそれだけではありません。「データを蓄積・分析することで、より良い意思決定ができる」「デジタルを使って従業員体験を向上させる」という側面もあります。
「ピープルアナリティクス(データを使った組織・人材の分析)」は、「勘と経験」だけでなく「データと分析」でも人事の意思決定を補強する手段として注目されています。人事DXは「効率化」と「意思決定の質向上」の両方を目指すものです。
「テクノロジーの知識」より「何を解決したいか」が先
人事DXで最も大切なのは、「どんなテクノロジーを使うか」ではなく、「テクノロジーを使って何を解決したいか」という問いを先に持つことです。
「手段ありきで人事を動かしてはいけない」という考え方があります。「最新のHR Techを導入したい」という発想より、「採用の質を上げたい、そのために何が課題で、テクノロジーはどう使えるか」という発想の順番が重要です。
「人事×DX」で求められる力
ITの専門知識より「翻訳する力」
人事DXを推進する人材に求められる最も重要な力は、IT技術の深い専門知識ではなく、「翻訳する力」だと思っています。
「人事の課題・ニーズ」をIT部門・ベンダーに「システムとして実現したいこと」として伝える。逆に「IT部門・ベンダーが言っていること」を「人事の業務・課題との関係」で理解する。この「翻訳者」の役割が、人事DX推進において最も重要です。
ITの技術的な詳細はIT部門・ベンダーに任せればいい。「何のために、何を実現するか」という目的と要件を明確にすることが人事の役割です。
「データリテラシー」は必要
テクノロジーの深い知識は必要ありませんが、「データリテラシー(データを読む・使う基礎的な力)」は人事DX時代に必要な力です。
「エンゲージメントスコアの経月変化を読む」「離職率を部署別・階層別に集計する」「採用チャネル別のコストと質を比較する」——これらはExcelやTableauなどのツールで処理できるレベルの話です。「データを使って考える習慣」を持つことが、人事DXの出発点です。
人事DXキャリアの築き方
「得意な人事領域」×「デジタル活用」から始める
人事DXのキャリアは、「すべての人事業務をDXする」という発想ではなく、「自分が最もよく知っている人事領域で、デジタルをどう活かすか」という発想から始めることをおすすめします。
採用が得意なら「採用のデジタル化・データ活用」から、研修設計が得意なら「eラーニングやオンライン研修の設計・運営」から、評価に詳しいなら「評価システムの選定・活用」から——自分の強みと掛け合わせることで、他の人にはない「専門性」が生まれます。
「小さなデジタル活用」を積み重ねる
人事DXのキャリアを築くための実践として、「日常業務の中で、デジタルを少しずつ活用していく」という積み重ねが有効です。
「Excelで今まで手動でやっていた集計を自動化する」「採用管理をスプレッドシートからATS(採用管理システム)に移行する」「1on1のメモをツールで管理する」——こういった「小さなデジタル化」の経験が積み重なることで、「人事×デジタル」の実績と知見が生まれます。
「HR Tech」の世界を継続的に学ぶ
HR Techの世界は急速に変化しています。継続的にキャッチアップすることが大切ですが、「すべてを詳しく知る」必要はありません。
毎月1〜2本、HR Tech関連の記事・レポートを読む。年1回、HR Tech系のカンファレンス・展示会に参加する。HR Tech関連のコミュニティ(人事図書館など)に参加して、最新情報を仲間と共有する——こういった「継続的なインプットの習慣」が、HR Techに詳しい人事という専門性につながります。
明日からできる3つのこと
1. 「今の業務で一番時間がかかっている手作業」を書き出す(所要時間:30分)
今の人事業務で「手作業・手入力・コピペが多い業務」をリストアップしてみましょう。これがデジタル化・自動化の候補です。「どこにデジタルを使えるか」を考える出発点になります。
2. 「Excelの集計作業」を一つ自動化してみる(所要時間:1〜3時間)
今Excelで手動でやっている集計を、関数や自動化機能を使って効率化してみましょう。「Excel VBA」「Googleスプレッドシートのマクロ」など、プログラミングの知識がなくても使えるツールがあります。最初は「1つの集計を自動化する」だけでいいです。
3. 「HR Techツール」を1つ調べて試してみる(所要時間:2〜3時間)
採用管理、1on1支援、エンゲージメントサーベイ、オンボーディング——これらのカテゴリのHR Techツールを1つ選んで、無料トライアルで試してみましょう。「実際に使ってみること」が、HR Techを「知識として知っている」から「使える」に変わる最速の方法です。
まとめ:人事×DXは「人事の本質を知っている人」の仕事
人事DXを推進する上で最も大切なのは、「DXの技術を理解すること」より「人事の課題を深く理解していること」です。
「何が課題か」「何を解決したいか」「テクノロジーでどこまでできて、何は人がやるべきか」——こういった問いに答えられるのは、「人事を深く知っている人」です。テクノロジーはあくまでも手段で、「課題解決の知恵」が本質です。
「人事の仕事の質の7〜8割は"知る"の質で決まる」という言葉があります。人事DXも、「組織・人・事業の課題を深く知ること」から始まります。DXを恐れず、「自分の人事の強みをデジタルで増幅させる」という発想で取り組んでみてください。
もっと深く学びたい方へ
人事DXと最新HR Techを学びたい方には、「人事のプロ実践講座」がお役に立てるかもしれません。
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