
OJTが「放置」になっていませんか?機能するOJT設計の考え方
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OJTが「放置」になっていませんか?機能するOJT設計の考え方
「背中を見て覚えろ」「仕事は現場で学ぶもの」——この考え方が根づいている職場で、新入社員が「何をしたらいいかわからない」と感じている。そんな状況はありませんか。
OJT(On-the-Job Training)は、「職場での業務を通じた育成」という定義ですが、現実には「放置」と紙一重になりやすい。指導担当者が忙しくて時間が取れない、「教えるのが苦手」という担当者が任命される、「何を教えるか」が言語化されていない——こういった状況で「OJTをやっています」と言っていても、育成は機能していません。
機能するOJTを設計するための考え方を整理します。
OJTが「放置」になる3つの構造
構造1:OJT担当者が「育成」ではなく「業務効率」を優先せざるを得ない
OJT担当者は、自分の業務を持ちながら後輩の指導もしなければなりません。「教える時間」と「自分の業務をこなす時間」のトレードオフの中で、忙しい時期に指導が後回しになるのは、担当者の意欲の問題ではなく「構造の問題」です。
構造2:「何を教えるか」が定義されていない
OJT担当者が「自分が仕事を覚えたやり方」で教えると、教える内容・順序・方法がバラバラになります。「Aさんに教わったときと、Bさんに教わったときで言うことが違う」という混乱が生まれます。
構造3:OJTの効果が測られない
「OJTをやっている」かどうかは確認されますが、「OJTの効果があったか(新人が何を習得したか)」は測られないことが多い。測られないものは改善されません。
機能するOJTの3つの設計要素
要素1:育成計画の「見える化」
「○ヶ月後にこれができるようになる」という育成目標と、そこに至るためのステップを見える化します。
例)入社3ヶ月後の目標:「基本的な業務フローを一人でこなせる。わからないことは適切に質問できる」 → 1ヶ月目:業務の全体像を理解。先輩と一緒に業務をこなす。 → 2ヶ月目:基本業務を一人で実施(先輩がチェック)。 → 3ヶ月目:一人で完結できる業務の範囲を広げる。
この「育成ロードマップ」を新人・OJT担当者・部門マネジャーが共有することで、全員の認識が揃います。
要素2:OJT担当者への「支援と評価」
OJT担当者が「育成に時間を使える環境」を作ることが人事・マネジャーの役割です。
具体的には:
- OJT担当者の業務量を一定期間軽減する
- OJT担当者を「育成に貢献した」として評価する(評価制度への組み込み)
- OJT担当者向けのミニ研修・相談の場を設ける
「育成して報われる環境」がないと、「いい人材を育てたら異動・転職で取られる」という虚しさから、育成への意欲が失われます。
要素3:定期的な「振り返りと対話」
週1〜2回の短い「振り返りの場」を新人とOJT担当者の間で設けます。「今週学んだこと」「困っていること」「来週に試したいこと」を5〜10分で話すだけでも、新人の状態を把握し、必要なフィードバックを届けられます。
OJT担当者が「教え方」で悩まないために
「教え方がわからない」という担当者に役立つフレームワークとして「Tell-Show-Do-Review」があります。
- Tell(説明する):何をなぜやるかを言葉で説明する
- Show(見せる):実際にやってみせる
- Do(やらせる):本人に実際にやってもらう
- Review(振り返る):うまくいった点・改善点をフィードバックする
このシンプルなサイクルを繰り返すことが、OJTの基本です。このフレームワークをOJT担当者全員に共有するだけでも、「教え方のブレ」が減ります。
「教わりにくい」新人への対応
「質問してこない」「指示待ちになりがち」「反応がわかりにくい」という新人への対応に困るOJT担当者は多い。
これは「新人が悪い」のではなく、「質問しやすい環境ができているか」「何をどのレベルで期待しているかが伝わっているか」を見直す機会です。
「質問して何も教えてもらえなかった」「変な質問だと思われた」という体験が積み重なると、新人は質問しなくなります。「わからないことを聞く」ことが安全な職場づくりは、OJTの前提条件です。
効果測定:OJTが機能しているかを確認する
OJTの効果を測るために、以下の指標を活用します。
- 新人の習熟度チェック:定期的に「育成ロードマップの達成状況」を確認する
- 新人の満足度・不安度サーベイ:入社1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月時点でのミニサーベイ
- OJT担当者の感想・困り事:担当者が感じる課題を人事がヒアリングする
おわりに
OJTは「現場に任せて終わり」ではなく、「人事が設計・支援する育成プロセス」です。まず「育成ロードマップの雛形を1職種分作る」ところから始めてみてください。
育成設計と人材開発の実践をもっと深く学びたい方は、人事のプロ実践講座でご一緒しましょう。
吉田洋介
人事図書館 代表 / 著書『「人事のプロ」はこう動く』
リクルートマネジメントソリューションズで14年間・500社以上の組織人事コンサルティングに従事。 上海駐在を経て2021年に独立。2024年に人事図書館を設立(会員740名超)。 「すべての組織に人事のプロを」を理念に、経営と現場をつなぐ人事の実践知を発信している。
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