
リモートワークが当たり前になった職場で、エンゲージメントをどう保つか
目次
リモートワークが当たり前になった職場で、エンゲージメントをどう保つか
「最近、チームの空気感が掴みにくくなった」——リモートワーク導入後、そんな感覚を持ったことはありませんか。
出社していた頃は、廊下ですれ違いざまに「最近どう?」と声をかけられた。ランチで愚痴を聞いてあげることができた。「なんとなく元気がない」という変化に早期に気づけた。リモートワークが広がった今、こういった「非公式な接触」が減り、社員の状態を掴む機会が少なくなっています。
エンゲージメントを「場所」に依存しない形で保つために、何ができるかを考えます。
リモート環境でエンゲージメントが下がりやすい理由
理由1:孤立感の増加
「誰とも話さずに一日が終わった」という孤立感は、リモートワーカーに多く見られます。特に一人暮らしの若手社員、入社間もない社員は影響を受けやすい傾向があります。
孤立感は単なる「さびしさ」ではなく、「自分が組織に必要とされているかどうかわからない」という帰属意識の欠如に直結します。
理由2:上司・同僚との関係性が希薄化する
リモートでは「仕事の会話」だけになりがちで、「雑談・ちょっとした相談・感情の共有」が減ります。関係性は「意図的に作る行動」なしには育ちにくい環境です。
理由3:成果が見えにくい・認められにくい
オフィスでは「頑張っている姿」が見えましたが、リモートでは「成果」しか見えにくくなります。「プロセスを見てほしい・認めてほしい」という欲求が満たされにくい環境です。
理由4:仕事と私生活の境界が曖昧になる
家で仕事をしていると、「仕事が終わった」という区切りが作りにくく、長時間労働・疲弊につながりやすい。これもエンゲージメント低下の一因です。
リモート環境でのエンゲージメント施策の設計
施策1:1on1の質と頻度を上げる
リモート環境では、1on1が「唯一の個別コミュニケーション機会」になることがあります。
リモート時代の1on1で大切なのは、業務進捗の確認だけでなく「状態確認」を含めること。「最近仕事以外でどうですか」「困っていることや気になることはありますか」という問いかけが、孤立感の早期発見につながります。
頻度は月1回より隔週、隔週より毎週が望ましい。ただし「短くても頻繁に」の方が「長くたまに」より効果的なことが多い。
施策2:非公式なつながりを「意図的に作る」
リモート環境では、雑談・偶発的な出会いが減るため、意図的に設計しないと生まれません。
バーチャルコーヒーチャット:ランダムに2〜3名をペアリングして15〜30分の雑談の場を設ける。テーマは「仕事以外の話」でいい。
チャンネルの活用:Slack等に「#趣味」「#今日のランチ」「#おすすめ本」など、仕事以外の話ができるチャンネルを作る。
バーチャルランチ:同じ時間帯にビデオオンでランチを食べながら雑談する。「誰かがそこにいる感覚」が孤立感を和らげます。
施策3:成果・行動の「可視化と称賛」を仕組み化する
リモートでは見えにくい成果・行動を意図的に可視化します。
チームの朝礼・振り返り会で「今週良かった行動」をシェアする、社内Slackで感謝を伝えるチャンネルを作る——こういった「良いことを見える化する場所」を設けることで、プロセスも認められやすくなります。
施策4:出社の「意味」を設計する
「なんとなく全員出社」ではなく、「このために出社する」という目的を持たせることで、出社の価値が高まります。
チームの合宿・四半期キックオフ・1on1の一部を対面で実施するなど、「対面でないとできないこと」に出社を集中させる設計が、リモート社員の満足度を高めます。
マネジャーへの支援が鍵
リモート環境でのエンゲージメント管理において、「マネジャーの力量」に大きく依存します。
「リモートで部下の状態が掴めない」「どうコミュニケーションすればいいかわからない」と感じているマネジャーは多い。人事として、リモートマネジメントのスキル・ツール・場を提供することが重要です。
具体的には:
- リモート1on1の進め方ガイドの提供
- マネジャー同士が悩みをシェアし合う場の設計
- リモート環境特有の疲弊・孤立サインの早期発見方法の共有
エンゲージメントデータの取り方
リモート環境では、「エンゲージメントを感じ取る力」が弱まるため、データで補う重要性が上がります。
月次のパルスサーベイ(短い設問のサーベイ)で「今週の状態」を数値で把握することで、早期のアラートを出せます。「先週より数値が下がっているチーム」への積極的な関与が、問題が大きくなる前の介入につながります。
おわりに
リモートワーク環境でのエンゲージメントは、「意図的にデザインする」ことで守れます。「なんとなく大丈夫だろう」と思っていたら、気づいたときには離職が増えていた——という事態を防ぐために、「今、チームの状態はどうか」という問いを持ち続けることが、人事・マネジャーの大切な役割だと思っています。
エンゲージメント施策の実践をもっと深く学びたい方は、人事のプロ実践講座でご一緒しましょう。
吉田洋介
人事図書館 代表 / 著書『「人事のプロ」はこう動く』
リクルートマネジメントソリューションズで14年間・500社以上の組織人事コンサルティングに従事。 上海駐在を経て2021年に独立。2024年に人事図書館を設立(会員740名超)。 「すべての組織に人事のプロを」を理念に、経営と現場をつなぐ人事の実践知を発信している。
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