テレワーク時代のエンゲージメント。離れていても「つながり感」を作る方法
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テレワーク時代のエンゲージメント。離れていても「つながり感」を作る方法
「テレワークを導入してから、チームのつながりが薄くなってきて。どうやって関係を作ればいいのかわからなくて」
そんな気持ちを抱えたまま、今日も画面の向こうのチームとのやりとりを続けている方に、この記事は向けて書いています。
テレワークが当たり前になって数年が経ちました。感染症対応という「緊急事態」から始まったリモートワークは、今や多くの組織でスタンダードな働き方として定着しています。でも、制度として定着した一方で、人事の方から聞こえてくる声は変わっていない。むしろ、時間が経つほどに悩みの輪郭がはっきりしてきた印象があります。
「先月、突然メンバーが退職しました。退職理由は"一身上の都合"。でも正直、全然わからなかったんです。テレワークになってからは、毎日画面越しにはいるんですが、何を考えているかが見えなくて」
こんな経験を、人事の方から聞く機会が増えています。オフィスで働いていたときは、廊下で声をかけるとか、ランチに誘うとか、なんとなく「あの人、最近元気ないな」と気づける機会があった。でもリモートになると、接点がミーティングのカレンダーだけになって、業務の話以外はほとんどしていない、という状態になりやすい。
「つながりの設計」を意図的にしなければ、関係性は自然と希薄化していく。これは、テレワーク環境の構造的な問題です。人の関係性は、何もしなければ維持されない。オフィスにいると、「意図せず」つながれる場面がたくさんありましたが、テレワークではそれが起きない。「意図的に」作らなければ、つながりは育まれないんです。
今日は、テレワーク時代のエンゲージメントについて、一緒に考えてみたいと思います。「こうすれば解決する」という正解があるわけではありません。でも、現場の人事の方たちが試行錯誤しながら見つけてきた「問いの立て方」と「小さな工夫」を、できるだけ具体的にお伝えしていきます。
なぜテレワークでエンゲージメントは下がりやすいのか
ある企業の人事の方が、こんな話をしてくれました。
「退職者の面談をしても、本当の理由がわからないんです。みんな"一身上の都合"か"家庭の事情"。退職面談で本音は出てこない。でも退職した人のSNSを後から見ると、全然違うことを書いていたりする。チームの雰囲気が合わなかったとか、孤独感が辛かったとか。どうして早く気づけなかったんだろう、と思って」
これは、テレワーク下で特に深刻になる問題です。オフィスで働いていれば、顔色や雰囲気、ランチの様子など、多くの「非言語情報」が自然と入ってきます。でもリモート環境では、その情報のほとんどが失われる。発言しなければ存在が見えにくく、不満が蓄積していても「画面の向こうで普通に業務をこなしている人」にしか映らない。
「辞める理由が"一身上の都合"ばかりで、本当の理由が見えない。退職面談では本音は出てこない」という状況は、テレワーク下でより一層顕著になっています。
では、そもそもエンゲージメントとは何でしょうか。ここで一度、整理しておきたいと思います。
エンゲージメントとは、「組織と個人の間に生まれる、双方向のつながり感と貢献意欲」と私は考えています。主要な構成要素を分解すると、おおむね以下の3つに整理できます。
関係性(Belonging):チームや組織の一員であるという帰属感。「ここにいていい」「仲間がいる」という感覚。
成長(Growth):仕事を通じて自分が学び、成長できているという実感。「この仕事をしていることで、自分が前に進んでいる」という感覚。
貢献感(Contribution):自分の仕事が誰かの役に立っている、組織の目標に貢献できているという実感。「自分がいることに意味がある」という感覚。
この3要素とテレワークの相性を考えると、問題の構造が見えてきます。
関係性は、「偶発的な接触」によって育まれる側面が大きい。
廊下ですれ違って「最近どう?」と声をかける。ランチを一緒に食べながら仕事と関係ない話をする。会議の前後に雑談する。こういった「意図していなかった交流」が、実は関係性の基盤を作っていました。テレワークでこれが消えると、接点は「業務目的のミーティング」だけになる。関係の深化が起きにくくなります。
成長実感は、「フィードバックの質と頻度」に依存する。
リモート環境では、リアルタイムのフィードバックが減りやすい。「今日のプレゼン、あの部分がよかったよ」「ちょっと気になったこと聞いていい?」という即興のやりとりが起きにくい。評価や承認が非同期になると、メンバーは「自分がどう見られているかわからない」という不透明感を持ちやすくなります。
貢献感は、「自分の仕事が誰かに届いている実感」から生まれる。
リモートでは、仕事の成果が「誰かに届く瞬間」を体感しにくくなります。提案書を送って「ありがとう」のメールが来ても、それだけでは手ごたえが薄い。「あの資料、部長が会議で使っていたよ」「クライアントに好評だったよ」という情報が、リモートでは自然に流通しにくいんです。
さらに、もう一つ重要な要因があります。「透明性の欠如」です。
オフィスにいると、組織の状況が自然と見えてきます。会議室でどんな議論が行われているか、上司がどんなことを考えているか、隣の部署が何で忙しいのか。意識しなくても情報が流入してくる。でもリモートでは、自分に直接関係する情報しか届かなくなる。「自分が知らないところで、何かが決まっている」という感覚が積み重なると、組織への信頼感が揺らぎ始めます。
そして、ハイブリッドワークが生み出す「分断」の問題も見逃せません。
出社している人とテレワークの人が混在する環境では、情報の非対称性が生まれやすい。「オフィス組だけで話が進んでいる」「在宅の自分は輪から外れている気がする」という感覚を持つリモートワーカーは少なくありません。逆に、週に数回出社しているメンバーが「テレワーク組は楽でいいね」と思われているような居心地の悪さを感じるケースもある。
ここで大切な視点は、「テレワークが悪い」のではないということです。テレワークには、通勤時間の削減、育児・介護との両立、集中できる環境の確保など、個人にとっての多くのメリットがあります。問題は、「テレワークという環境に対応したエンゲージメントの設計ができていない」こと。オフィス前提の組織設計のまま、ツールだけ変えてリモートに移行したことが、今のギャップを生んでいます。
テレワーク対応のエンゲージメント設計。これがこれからの人事の重要な仕事の一つだと、私は考えています。
テレワーク下でのエンゲージメント施策の落とし穴
IT企業の課長(40代)が、自分の1on1について話してくれたことがあります。
「1on1で沈黙が3秒続くと、自分が話し始めてしまうんです。結局、毎回自分の話を30分してしまって、部下は"はい、はい"と言うだけ。これって1on1じゃなくて、ただの説教タイムですよね(苦笑)。でも、何を聞けばいいのかわからなくて。リモートだと余計に、沈黙が気まずくて」
この方の話は、テレワーク下のエンゲージメント施策でよく起きる「落とし穴」を象徴しています。「形を作った」けれど「中身が機能していない」という状態。
テレワーク下でのエンゲージメント施策には、典型的な失敗パターンがあります。
パターン①:オフライン時代の施策をそのままオンラインに移植する
「オフィスでやっていたから、オンラインでも同じようにやろう」という発想が、最初の落とし穴です。
全体朝礼をZoomでやる。研修をオンラインに移行する。社内イベントをバーチャルで開催する。やること自体は悪くないのですが、オフラインとオンラインでは「場の質」が根本的に違います。
オフラインの全体朝礼では、人の顔が見え、空気が共有され、「一体感」が生まれやすい。でもZoomの全体朝礼では、カメラをオフにしている人もいて、「なんとなく参加しているふり」ができてしまう。形を移植しても、効果は移植できない。
1on1も同じです。オフィスなら、会議室に入る前後の雑談や、コーヒーを取りに行きながらの会話があった。でもオンライン1on1は、開始ボタンを押した瞬間から「業務モード」が始まる。最初の数分のウォームアップがなければ、いきなり深い話には入りにくい。
パターン②:「とりあえずオンライン飲み会」「バーチャルオフィス」で満足する
テレワーク導入初期、多くの企業がオンライン飲み会やバーチャルオフィスツールを試みました。新鮮さがある最初の数回は盛り上がりましたが、継続している企業はどれだけあるでしょうか。
「やってみたけど、なんか盛り上がらなくて」という声をよく聞きます。それはそうで、オフラインの「飲み会」が機能していたのは、アルコールや雰囲気、場の流れの中で「気づけば打ち解けていた」という偶発性があったからです。オンラインで同じ効果を出そうとすると、設計がかなり精密でないといけない。
バーチャルオフィスも同様です。アバターがいるだけでは、つながりは生まれません。「人がいる」という状態と、「つながっている」という感覚は、別物です。
ツールを導入して「やった気」になるのが、この落とし穴の本質です。
パターン③:テレワーク推進で「評価・観察」の機会が減り、見えない不満が溜まる
リモート環境では、「仕事ぶり」が見えにくくなります。成果は数字で追えても、プロセスや姿勢が見えない。そうすると、評価への不透明感が生まれやすくなります。
「頑張っているのに、評価されているか不安」「上司に自分の仕事を見てもらえていない気がする」という不満は、リモートワーカーに多い感情です。
さらに、人事が現場を「見に行く」機会も減っています。オフィスにいれば、各チームの雰囲気や空気感が自然に見えてきましたが、リモートでは人事と現場の接点が薄くなる。異変に気づくタイミングが遅れやすくなります。
先ほどの課長の1on1の話に戻ると、「聞けない」背景には「沈黙への恐怖」だけでなく、「何を聞けば相手の役に立てるかわからない」という迷いもあります。これはスキルの問題ではなく、「1on1の目的が共有されていない」という設計の問題でもあります。
施策の失敗のほとんどは、「目的の設計」ではなく「手段の模倣」から始まります。「他社がやっているから」「流行っているから」という理由で施策を選ぶと、自社の文化や課題に合わないものを入れてしまうことになります。
では、人事のプロはどう考えているのか
「テレワークでエンゲージメントを高めるには、何をすればいいですか?」
この問いに、私は「一つの正解はない」と答えながら、「でも、方向性の正解はある」と続けます。
その方向性とは、「意図的な設計」です。オフィスで「自然に」起きていたことを、テレワークでは「意図的に」作る。それだけのことなのですが、この意識の転換がとても重要です。
私が支援してきた企業で、効果があった工夫を4つに整理してお伝えします。
工夫①:「非同期コミュニケーション」の設計を丁寧にする
リモートワークの特性上、全員が同時にオンラインにいるわけではありません。時差がある海外メンバーとの協働、育児中のメンバー、集中作業優先の個人スタイルなど、それぞれのリズムがある。こうした環境では、「非同期コミュニケーション」の質が、関係性の質に直結します。
テキストでの「背景・文脈・感謝」を丁寧に伝える文化を作ることが、第一歩です。
「確認お願いします」だけのメッセージと、「先日の打ち合わせでいただいた意見をもとに修正しました。特に〇〇の部分を変えたので、そこを重点的に見ていただけると助かります。いつも丁寧なフィードバックをありがとうございます」というメッセージでは、受け取る側の感覚がまったく違います。
「文字の冷たさ」というのはよく言われますが、文字でも温度は伝わります。ただ、オフライン以上に意識して丁寧に書かないと、伝わらない。これはスキルであり、文化でもあります。
SlackやTeamsでの「絵文字リアクション文化」も、意外に効果があります。誰かが何かを共有したとき、「いいね」ボタンや「拍手」の絵文字が来るだけで、「ちゃんと見ている人がいる」という安心感につながります。反応がないと、「誰も見ていないのかな」「自分の仕事に意味があるのかな」という孤独感につながりやすい。
絵文字で関係性が変わるとは思えないかもしれませんが、積み重なると確実に「つながり感」に差が出ます。重要なのは、マネージャーや人事が率先してリアクションすること。文化は、上から作られます。
もう一つ大切なのが、「進捗の可視化」です。誰が何をしているかが見える状態を作ること。これはリモートワーカーの孤独感を和らげるだけでなく、「透明性」によって組織への信頼感を高める効果もあります。
プロジェクト管理ツールの活用はもちろんですが、チームチャンネルで「今日やること」を朝に共有し合う、という習慣を持っているチームは、エンゲージメントが高い傾向があります。「あ、〇〇さん今日あの案件やってるんだ」「大変そうだから声かけておこう」という自然な気遣いが生まれやすくなる。
工夫②:「意図的な同期コミュニケーション」を設計する
非同期と並んで大切なのが、「同期(リアルタイム)コミュニケーション」の設計です。ただし、「とにかくミーティングを増やす」のは逆効果。リモートワーカーの疲弊の大きな原因の一つが、「ミーティング過多」です。
重要なのは、「何のための場か」を明確にした設計です。
私が効果を実感しているのが、週1回15分の「チェックイン(近況共有)ミーティング」です。業務報告ではなく、「今週の状態報告」に特化した場です。
「今週のマイ・ベストは?」「最近モヤっとしていることは?」「今日の気分を天気で例えると?」といった問いかけから始まる。業務とは切り離して、「人としての状態」を共有する時間。ここで「実は最近ちょっとしんどくて」という発言が出てくることがあります。そのひと言が出るかどうかが、後の離職予防に大きく影響します。
15分でいい。週1回でいい。でも「ちゃんと聞いてもらえる場がある」という安心感は、積み重なって信頼になります。
業務と関係ないテーマでの対話の場も、効果があります。「最近読んだ本」「週末にやったこと」「今ハマっているもの」。こういった雑談的なテーマを、月1回でも15分確保する。業務の話しかしていない関係は、薄い。人と人のつながりは、「業務外の自分」を少し見せ合うことで深まります。
1on1については、「聞く」比率を意識的に高める設計が必要です。先ほどの課長の例にもあったように、多くのマネージャーが「話しすぎてしまう」という課題を持っています。
1on1の目的を「業務報告を聞く場」から「相手の状態と希望を理解する場」に変えることが大切です。そのためのシンプルなフレームとして、「今どんな状態ですか?」「何があったら、もっといい状態になれますか?」「私に何かできることはありますか?」の3つだけを聞く、というやり方を紹介することがあります。
答えを出さなくていい。解決策を提案しなくていい。ただ聞いて、「そうなんですね」と受け取るだけで、相手の感じる「つながり感」は大きく変わります。
工夫③:「貢献が見える」仕組みを作る
エンゲージメントの三要素のうち、テレワークで最も見落とされやすいのが「貢献感」だと思います。
自分の仕事が誰かの役に立っているか。組織の目標に向かって前進しているか。この感覚は、自己評価だけでは育ちにくい。「誰かに認められた」「感謝された」「成果が見えた」という外からのフィードバックが必要です。
「ありがとう」を伝え合うチャンネルをSlack等に作ることを、私はよく提案します。#thanks、#shoutout、#kansha など、名称は何でもいい。大切なのは「誰かの貢献を公に称える文化」を作ること。
「〇〇さんが今日の資料作成を手伝ってくれて、本当に助かりました。ありがとう!」という投稿が流れると、書いた本人も、称えられた本人も、読んだ周りの人も、少し温かい気持ちになる。コストゼロで、貢献の可視化ができます。
大切なのは、「マネージャーが先にやる」こと。心理的に、感謝を公に言うのは少し恥ずかしい。マネージャーが率先して使うことで、「使っていい文化」が生まれます。
成果発表の場も有効です。月1回、チームで「今月やったこと・学んだこと」をミニプレゼンする場を作っているチームがあります。5分程度でいい。でも「自分の仕事を見てもらえる場」があることで、承認欲求が満たされる。「誰にも気づかれないまま、黙々とやっている」という感覚は、エンゲージメントを静かに蝕みます。
リモート下での「承認・称賛」は、意図的に作らなければ生まれません。「ちゃんとやってくれているのはわかっているから、あえて言わなくていい」という感覚のマネージャーは多いですが、言わないと伝わらない。特にテレワーク環境では、「察する」がほぼ機能しないと思っておいた方がいいです。
工夫④:人事が「定期的に現場に入る」習慣を持つ
人事がオフィスにいれば、各部署を歩くだけで「あのチーム、最近雰囲気が変わったな」「あの人、なんか落ち込んでいるな」という情報が入ってきます。リモートでは、それが起きない。
だから、人事が意図的に「現場に入る」習慣を作る必要があります。
一つの方法は、定期的にチームのミーティングに「見学」として参加させてもらうことです。「邪魔しにきたわけじゃなくて、みなさんのコミュニケーションを見せてもらいたくて」というスタンスで入らせてもらう。実際に、チームのやりとりを見ることで、サーベイや数字では見えない「空気」を感じ取れます。
もう一つは、月1回、各チームのメンバーと1対1でコーヒーチャットをすることです。10〜15分でいい。「人事に相談するほどじゃないけど、ちょっと気になっていること」を拾う場になります。
「人事に相談しにくい」という心理は、多くの組織で根強くあります。「言ったら何かされるんじゃないか」「大げさに思われないか」。こういった心理的ハードルを下げるためには、「普段から人事と話す機会がある」という実績を積み重ねることが一番効果的です。
人事が現場に近くいることが、エンゲージメントの「安全弁」になる。問題が大きくなる前に、小さな変化に気づける存在でいること。これはリモートかオフィスかを問わず、人事の大切な役割だと思っています。
ただ、ここで一つ注意があります。現場に「入りすぎる」のも逆効果になることがあります。「人事が見ている」というプレッシャーになったり、「マネージャーを飛び越えて直接話している」という関係性の問題になったりする。現場のマネージャーとの信頼関係を大切にしながら、「人事として知っておきたいこと」と「マネージャーが解決することとの線引き」を意識することが大切です。
明日からできる3つのこと
ここまで読んでいただいて、「わかるけど、全部は無理だな」と思った方もいるかもしれません。それで大丈夫です。全部一度に始める必要はない。一つでも小さく始めることが、大事な一歩です。
では、明日からできることを3つ挙げます。
アクション①:今週中に1人のリモートワーカーに「最近どうですか?」と聞く
所要時間:15分(チャットでも、ビデオ通話でも)
必要なもの:相手の名前と、少しの勇気だけ
最初の一歩:「最近、リモートでどうですか?何か気になっていることとかありますか?」と送る
これだけです。「人事から声をかけてもらえた」という体験は、それだけで「自分のことを気にかけてもらっている」という安心感につながります。答えが「特にないです」でも構わない。「聞いてもらえる人がいる」という認識が積み重なることに意味があります。
声をかける相手を迷うなら、「最近あまり発言が少なくなった人」「入社1年以内のリモートワーカー」「前回の話から時間が経っている人」を選んでみてください。
アクション②:チームの「週次チェックイン」に「仕事以外のことを1分話す」コーナーを追加する
所要時間:既存のミーティングに1〜2分追加するだけ
必要なもの:場を仕切っているマネージャーへの提案
最初の一歩:「週次のミーティングの最初に、一人ひとつ近況を一言話す時間を作りませんか?業務と関係ないことでも」と提案してみる
「仕事以外の自分」を少し見せ合える場を作ることで、チームに「人と人のつながり」の感覚が生まれます。最初は「何を言えばいいの?」という空気になるかもしれません。でも続けていくうちに、「あ、〇〇さんって料理好きなんだ」「〇〇さんも猫飼ってるの?」という接点が生まれてくる。
人事から直接提案が難しい場合は、マネージャーに「こんな取り組みをしているチームがあるんですよ」とさりげなく紹介するところから始めてみてください。
アクション③:自社の「テレワーカーの離職傾向」を過去1年のデータで確認する
所要時間:30分〜1時間
必要なもの:過去1年の退職者データ(雇用形態、就業場所、在籍年数、退職理由)
最初の一歩:退職者を「主にテレワーク」「主に出社」「ハイブリッド」に分類して、傾向に差があるかを見る
「テレワーカーの方が離職率が高い」か、そうでないか。答えよりも、「自社の状況を数字で把握する」ことが目的です。傾向が見えれば、どのグループに対してどんな施策が必要かの議論ができるようになります。
「なんとなく気になる」から「データで見ると〇〇という傾向がある」になると、経営との会話が変わります。施策の優先度をつけやすくなり、限られたリソースでどこに集中するかが明確になります。
まとめ
テレワークはエンゲージメントの敵ではありません。
むしろ、「つながりを設計する力」を問われる機会だと思っています。オフィスにいれば「なんとなく」つながれていたことが、リモートでは「意図的に」設計しなければ生まれない。それは確かに手間ですが、同時に「エンゲージメントとは何か」を深く考える契機でもあります。
大事なのは、一度に全部やろうとしないことです。まず一人に声をかける。まず一つのミーティングに工夫を加える。まず一枚のデータを見てみる。小さく始めてOKです。
私がずっと大切にしている言葉があります。「誰も犠牲にならない組織を当たり前に」。これはテレワーク時代においても変わらない。在宅だからといって孤立しなくていい。リモートだからといって、評価されなくていい。一人の人事として、一人ひとりが「ここにいていい」と感じられる職場をつくる。
テレワーク下でのつながりを設計することは、その「当たり前」を守るための仕事だと思っています。一人人事だからこそ、小さな一歩が大きな変化になる。あなたが今日声をかけた一言が、誰かにとっての「続けていける理由」になるかもしれません。
一人で悩んでいる方へ
人事図書館は、人事の仲間と学びが詰まった場です。 テレワーク時代のエンゲージメント設計から、リモートチームの関係づくりまで、仲間と一緒に学べます。
▶ 人事図書館について 人事図書館の詳細・入会はこちら
人事図書館は、人事をはじめとする「人・組織課題に向き合うすべての人」のための学びと交流の場です。仲間と学びで、未来を拓く。あなたの一歩を応援しています。
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